注意事項
閲覧は自己責任であり、ここで知った情報はあくまでも制作者用のためキャラクターが知れることはありません。制作者が知っている情報とキャラクターが知っている情報を混合させないようお気をつけください。
遺跡の国について
魔法の扱いがあまり得意ではない国であった。
魔法をあまり使えない分、自分たちの力や自然の力で農作物を育て建物を作り石像やアクセサリーなども作っていた。そうやって日々を過ごしていた為、技術的な面では他国よりも手先に器用な者が多かったと伺える。稀に魔力を持つものが生まれ、その類の者は水色と黄色の目を持ち、国の中では頼りにされる存在となっていた。
この国の人々は神や竜を信仰していたわけではなかったが、ある日を境にとある竜を信仰するようになる。その竜も、その国では魔力を持つ証である水色と黄色の瞳であり、民は抵抗や嫌悪感など抱かずに受け入れた。しかもその頃から竜の施しによって暮らしが裕福になっていった。
ただ、それに気づいた近隣国によって国を蹂躙され、物を奪われ、人を多く殺された。そうして疲弊していた筈の遺跡の国は、数年後から突然魔法を扱える者が増え戦争にも勝つようになり、一時的には復興した様に見えた。だがその後国から逃げる者が増えだし、残った住民は凶暴的になるか何かに怯え、その国はいつからか世界から名前を消したという。
石板
遺跡ゲームページの石板の内容と同じものを記載しています。一部補足あり。
石板1 | 世界は2つある、と我らには言い伝えられている。我らのいる世界には様々な『種族』が存在し、様々な文化を持ち、生きている。
【補足】1000年前でも国や種族によって色々な生き方をしているのは変わらない。考え方もそれぞれな為、世界が2つあるとは言い伝えられていない国やそれ以上あると提唱する国もある。 |
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石板2 | もう1つの世界には魔物が生まれる場所があり、魔物しかいないと言われている。魔物達はこちらの世界に来る術を持つが、我らにはそこへ行く術はない。
【補足】石板を掘った本人はあくまでも伝聞。ただし、石板5の理由によって、掘った本人はこれも真実だろうと信じて掘っている。 |
石板3 | もう一つ言い伝えられている話。世界には対の竜がいる。片方は我らのいる世界に。片方は魔物しかいないと言われる世界に。 |
石板4 | 対の竜は世界を見守る役目があるとも、滅ぼす存在だとも言われていた。その竜の片方。この世界に存在する方の竜が我らの元へ現れた。 |
石板5 | 竜は知識を多く与えてくれた。魔法を織り込んだ糸で作る服飾品の作り方や、魔力を込められた鉱石の加工方法を学び、我らに多くの力を持たせてくれた。
【補足】石板4にて自分が対の竜の片割れを名乗る者が現れ、最初は訝しむ者もいたが、その竜が様々な知識を与えてくれた事で信頼も信用も感謝もしてしまっている。 |
石板6 | だが近隣の国はそれをよく思わず、ある日、我らの国に攻めてきた。なにもかも多く奪われた。 【補足】お宝数点と時期がリンクする。 |
石板7 | 力が足りなかった。魔法を使っても飢えや争いを終わらせることは出来ない。「どうすればいい」「助けてくれ」と竜にすがった。
【補足】魔法を扱えない者達が頼りきっていた魔法使い達も、圧倒的な近隣国の魔法の前では敗北しかなかった。その魔法使い達に頼りきっていた自分達にも負い目を感じて何名も、何十名もが力を欲した。信頼や信用していたため、竜の提案にもすぐに乗る者がおおかった。 |
石板8 | 竜は叫ぶ。では契約を。と。叫ぶ。我らに魔法に更なる力を与えるという。力のない者でも強くなれるという。 |
石板9 | 言葉に乗り、我らは竜や魔族と契約を行った。恐ろしくもとても強く、力を持った事で希望さえ溢れてきた。 |
石板10 | そして、我らは力を行使した。近隣の国々から金を奪い、物を奪い、食料を奪った。いや、あれらは奪い返しただけだ。ただ、復讐に来た者からは命をも奪った。 |
石板11 | 楽しかった。ただ、喜ぶ仲間を見ていてふと思った。魔物と感覚を共有した事によって得た力を、使えば使うほど。同時に心がどんどんとなくなっているようだった。 |
石板12 | 私は気づいた。『我ら』はいつの間にか死ぬべき時に死ねていない事に。そして醜悪な生き物、まるで『魔物』になりかけている事に。 |
石板13 | 1人が気づいたら周りも共鳴する様に気づいていった。そして謝罪の言葉をどこでもない、誰でもない何かに言い続け許しを得ようとした。誰も許してくれるわけはなかった。 |
石板14 | 竜は言った。失敗した。やはり魔力が少ない者共にやらせるだけ無駄だったと吐き捨て消えていった。我らは竜の何かの遊びに巻き込まれただけだったのだ。 |
石板15 | 竜が消えた後、契約した魔物達は更に我らを蝕んでいった。もう何も楽しさも苦しさも平等にわからなくなっていった。 |
石板16 | ある日、空の民と地の者が訪れた。我らを理解し、******し、我らに***をしてくれる運びとなった。 |
石板17 | 我らは誰も異を唱えなかった。きっとこれで全て良い方に進むのではないか。我らは長く長く生きすぎたし、酷く醜く穢れに満ちてしまった。 |
石板18 | 空の民と地の民は目に見えない何かを紡ぐ様な動作をし、我らを******した。空の民に感謝を。我らの穢れを終わりとしてくれること。地の者に感謝を。我らの行いを繰り返さないよう伝えて言ってくれる事。 |
石板19 | もう繰り返さないために。穢れを閉じた空の蓋を壊してはいけない。地の底に血を貯めてはいけない。 |
石板20 | 白い体に黒い鬣。あの竜は信じてはいけない。かの竜がまた、目覚めないように願う。さぁ、ここも******する。これを読む誰かがいたら、世界はまだ続いているのだろう。これから何百年先も、平和であれ。 |
宝と宝の記憶と補助魔物について
宝1【ハートトビネズミの勇姿】 |
不思議な不思議な魔法のセット。 ハートトビネズミという魔物の耳や尻尾をかたどっていて、とてもふざけているように見えるが強い魔力を込められている。 装着すると腕力・魔力・物防・魔防・素質が全て+1されるが一度使用すると効力は失われる。 |
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宝の記憶1【M-10マス】 これはまずい、本能的な危機感が湧き上がる踏み入れた部屋ごと落下したようだ。もはや何層落ちたのかわからない。全身を打ち付けた痛みで起き上がることすら困難だった。いっそ意識を手放してしまいたかったが、霞がかった視界に認識したくない光景が広がる。魔物がいる、いや、魔物のほんの一部分が見えているだけと言った方が正確だろう。全貌を窺い知れない巨大な魔物、その目の前へ餌箱に入れて投げ出された、それがあなたの現状だった。 『消えかかる意識の中、どこまでも場違いなメロディーが鳴り響く。ピンク色のしっぽが横切った。小さな魔物がありったけの叫声を放つ。あなたは全身に力が戻ってきたのを感じた。巨獣に向き合い、こちらに背を向けているネズミの輪郭がはっきりとした。瞬時に部屋を見渡す。ここまで落ちてきた衝撃で壁の一部は崩れていた。 今なら、いつも以上の力が発揮できる。落ちてきた道を辿り上層へ逃げられるかもしれない。あなたは駆け出した。崩れた壁を駆け上り、落ちた天井をよじ登り、振り返らずに進んでいく。巨獣の咆哮が遠ざかる。そしてあなたを励ました旋律もまた小さく、弱くなり―…遺跡は常の静寂を取り戻した。薄暗い遺跡の中。自分の手や服を見つめて、あなたは怪訝そうな顔をしている。どうしてこんなに泥にまみれているんだ? 疑問に応える者はいなかった。【体力全回復】 あなたはこのマスで起きたことをすべて忘却する。あなたか、ほかの生徒か、はたまたかつてこの遺跡を訪れた誰かだろうか。すでに知る由は失われているが小さな魔物は誰かから受けた恩を忘れず、今この時、あなたという存在にそれを返したのだ。』 魔物が咆哮し、消える意識の片隅でピンク色のしっぽが横切った気もしたが姿を確認する前にあなたは意識を失った。意識を取り戻すとなぜか入口まであなたは戻っていた。 【体力1減少、次回I-14から行動を再開】 【解説】部屋が落ちるまでは現実(身体の痛みは本物)だが地下で見た魔物は幻覚である。 |
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宝2【アリスライト】 |
魔法の力を底上げする効果がある水色と黄色に交互に輝くペンダント。ただし長い間埃をかぶっていた為、大分力が弱まっている。 装着すると魔力と素質が+2されるが一度使用すると効力は失われる。 |
二つ並んだ像のうち、一方は幻覚である。
最後(5/5)で目にする、両眼空洞の像のみが現在に実存している。台座が読み取れないのも幻覚のため。瞳に嵌め込まれた宝石は水色と黄色。 目の宝石が減っていくのは姉弟が離れ離れになっていく様子の比喩。 宝の記憶1【C-10マス】 二つの石像が並んでいる。その両目には綺麗な宝石がはめ込まれていた。 『姉さんは嘘つきだ。それでも僕はその嘘が本当になればいいと願っていた。長く続いた戦争が終わった。しかし、争いで亡くなった人たちは帰ってこない。新しい時代の中で僕は一人ぼっちだった。』 目の前の像を持ち帰るか、壊すか、人を呼ぶか。なんにしろ調べるべきか、と像に手を伸ばしたが透明な膜でもあるかのようだ。像にはまったく触れられなかった。 【解説】像に触れられないのはなぜか? 宝②(2/5)(A-13) 二つの石像が並んでいる。その目は宝石でできていた。しかし合わせて4つあったであろう宝石のうち、1つはどこかにいってしまったようだ。『彼女はふらりと僕の前に現れた。彼女は大真面目な顔をして言う。「“これ”は私たちが姉弟である証なの」「ほら、あなたと私の瞳の色が入っているでしょう」理論も理屈もよくわからなかったけれど、そう言って手をとる彼女の笑顔が眩しかったから。僕はそうであればいいと思った。その日から彼女は姉さんになった。』 なにか仕掛けがあるかもしれないと台座を調べようとした。台座になにか文字がある、ような気がする…。何度も目をこすっても視界はぼやけたように揺らぎ、文字を読み取ることができなかった。 【解説】魔女は魔力を持たない者が身を守ることができるように、魔道具としてアリスライトを作っていた(それは「僕」と出会う前の話である)。 宝②(3/5)(J-7) 二つの石像が並んでいる。一方の像は両目に宝石をはめ込まれていた。もう一方の像の眼窩はがらんどうだった。『姉さんの古い友人が遠方から訪れた。たまたま彼女が街に出ていたものだから、僕がお茶を出してもてなしたんだ。あの日のことを思い出すと少し笑ってしまう。姉さんは僕よりずっと年下だった。』 像の前に不思議な台がある。なにかお供えするスペースだろうか? 【解説】像の前に置かれた台は供物を捧げる祭壇である。 宝②(4/5)(N-12) 二つの石像が並んでいる。なにか一つきらりと光るものが見えた。目に宝石が用いられているようだ。『姉さんは優秀な魔法使いらしかった。らしい、というのは僕が魔法を使えなかったから。実のところ今でもどうすごいのかはわからない。おそらく、このペンダントを作ったのは彼女なんだと思う。聞いても絶対頷いてはくれないだろうけど。』 片目に宝石を持つ像は、固く拳を握り締めている。 【解説】---- 宝②(5/5)(B-7) 石像が一つ佇んでいる。壁や柱と同じ材質でできているそれは、特別変わったものには思えない。『姉さんがあまり家に帰ってこなくなった。新しい時代には魔法使いの仕事がたくさんあるらしい。毎日毎日いろんな場所に出かけているようだった。僕が目にする姉さんの表情は次第に固くなっていった。戦争は終わったのに、なにが彼女を苦しめているのだろう。僕は何度も理由を尋ねた。姉さんは姿を消した最後の日も、僕にそれを教えてはくれなかった。』 石像はその両眼から水滴をこぼし続けている。 からっぽの眼から流れ落ちるそれに触れようとしたが、雫は手をすり抜けて床に文様を描いた。 【解説】姉が姿を消したのはなぜか。 【石板⑨~⑩あたりの時代の記憶】遺跡の国が魔物と契約したことで戦況は一変するが、優位に立ったとはいえ戦争で死した者が蘇るわけもなく、残された者たちは悲しみに打ちひしがれた。そうした状況下で親を亡くした子供、子を亡くした大人たちが手をとりあい家族と名乗ることがままあったのだ。「僕」が若い魔女に拾われたのもそうした光景のひとつとして人々に捉えられただろう。 遺跡の国の人間は元々あまり魔法が得意ではなく、魔力や素質を補助する道具としてアリスライトを用いていた。これを作っていた魔法使いの一人が若い魔女(=姉さん)である。竜との契約、魔物との契約によって弱き人々が力を得ると、それらの補助具は不用品となった。(イヤリング同様ごく一般的な補助具だったので遺跡に数多く残っている) 若い魔女は竜との契約を疑問視していた。しかしながら戦争で大事な者たちを守れず失った者、自身の無力さに囚われた者(眼鏡の製作者のように)にとって「力を与えてくれる」竜がどれほど大きな存在か、ということも彼女は理解していたため、竜の言葉を受け入れる者たちを引き止めることもできずにいた。 若い魔女が「僕」と出会ったのはそうした迷いと葛藤のさなかにいた時の話である。 戦争で家族を失った、魔法が不得手な子供。そうした非力な者たちが敗北を疎み、力を求めて魔物と契約する様を幾度も見てきた魔女は「僕」に声をかけずにいられなかったのだろう。 自分は竜のように大きな力を与えることはできない、それならば失った家族の代わりになろう、それくらいしか彼女の思いつく手段がなかったのだ。 |
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宝3【ヴァルピビビット】 |
吸血鬼のような歯になれる付け歯。装着し噛みしめると力が湧くがどうやら昔からあまり褒められたデザインの魔法具ではなかったようだ。 装着すると魔防が+4されるが一度使用すると効力は失われる。 |
宝③(1/5)(L-14) 土の香りがする部屋に出た。入り込んだものか人工的に持ち込んだものか。おそらく後者であろう。 『もう、逃げるわけには行かなかった。明かりのない夜に土を掘り返す音が響く。ガツン、と硬い手応えがあった。』 一定の間隔をおいて石が置かれている。なにか意味があるのだろうか。土を払い一つ手にとってみたが、それはただの丸い石でしかなかった。 【解説】ここ何の部屋?丸い石は何? 遺体が戻ってこなかった者たちの墓場。石は墓標。土が敷き詰められてはいるもののその下に柩などは埋められておらず、少し土を払えばすぐ床が見える。 宝③(2/5)(E-10) 壁一面を占める戸棚に、いくつもの瓶が並べられている。ラベルのついているものもあったが、劣化が激しく何も読み取れない。『友は戦場で死んだ。妻は病に倒れた。私は無様にも生きながらえてしまった。それを嘆くのももうおしまいにしよう。』 中身はさらに判然としなかった。元々が液体なのか、溶けて泥状になったのか。黒い澱が底にこびりついている。 【解説】瓶の中身って何? 動物や魔物の体液。元々はヴァルピビビットでそれを吸って使っていた。戦況の厳しさを考え「これが自分の最後の戦いだろう」と感じたこの牙の持ち主はそれらを使わず、自分の妻、そして親友の遺体を掘り起こし、彼らの力を借りることにした。 宝③(3/5)(C-4) 農具の保管庫だろうか。木製のそれを手にとると、綿菓子のような軽さで折れてしまった。『その内に納めるものを傷つけないよう、注意を払いながら柩を打ち壊した。久しいな友よ、我が妻よ。共に戦おう。臆病な私に力を貸しておくれ。』 魔力を感じる物はなかった。おそらくただの物置だろう。あなたは部屋をあとにする。 【解説】農具の部屋に何の意味が? 農具としても使えるが要するに「土を掘る道具」なので墓を掘る時掘り返す時に用いられるものが置いてあったという話。 宝③(4/5)(O-10) 轡や鞍が仕舞われている。何かしらの家畜と共に生活していたのだろう。綺麗に整頓されたそれらを見る限り、大事に管理されていたのは間違いない。『人と獣の境界はどこにあるのだろうか。たとえ私の所業がそれを踏み越えたものだとしても、それがどうしたというのだ。これは愛する者たちが私にもたらした力。何を恐れることがあろう。さぁ日が昇る。私たちの戦いをはじめよう。』 ひとつ、箱にしまわれているものがあった。なぜかこれだけ金具が壊れている。 【解説】家畜たちを飼って血を抜いていた。壊れた金具って? 最後の出陣に使うため一番質の良いものの金具(留め具)を持ち出した。 宝③(5/5)(D-12) 天井が崩れた部屋だった。瓦礫を避けるようにして差し込む光が床を照らしている。『異国の兵士が忌まわしいと吐き捨てる。血だまりの中私は笑っていた。この身から流れ出た血の何十倍という血を流させたのだ。悔いなどない。あぁ、本当に彼らを待たせてしまった。今、ようやく―…』 その光の中、どこからか入り込み芽吹いた花が咲いていた。 【解説】―― 【石板⑥時代の記憶。】牙の持ち主は今でいう医者のような立場の人間だった。特別魔法に秀でているわけでもなかった彼は薬を煎じ、治療補助具を用いた。そのうちのひとつが件の牙である。弱った者に力を与えたり、牙を通して薬を飲ませることで効果を増したり、有意義な道具ではあったのだが見た目の関係で頗る患者からの評判は悪かったようだ。戦争が厳しくなり魔力を持つ者は駆り出されていく。彼の友人もまたそうして戦地に旅立った。国には治癒魔法を扱える者もいたが、高度な治癒魔法を使える者はそれだけ魔力も強く、戦いでもその力を求められる。結果として彼のような魔力はさほどでもないが薬を扱うことに長けた者が国に残り日々増える負傷者の治療に追われていた。戦況が悪化し戦場で亡くなった者たちの骸を国に持ち帰る余力もなくなった頃、川に浮かべられた遺体の影響で水路の水が汚染され国中で感染症が流行った。彼は昼夜を問わず薬を作り続けたが”足りない”、足りないのだ、薬の原料が。敵軍の目を逃れ材料を集めようにも、兵のいないところでは他国の賊がハイエナのように待ち構えている。たいした魔力もなく、薬がなければ満足な治療を行うこともできない彼は無力であった。そうしてついに、彼の妻もまた病に倒れた。 |
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宝4【すごそうなメガネ】 |
とても重厚感があり見目は悪いが魔力を多く秘めているメガネ。レンズを通して魔物を見ると急所や弱点が見えるとか……。 装着すると物防と魔防が+2されるが一度使用すると効力は失われる。 |
宝④(1/5)(L-6) それはがらくたの山だった。用途のわからない機械から子供が持つような人形まで。何か持ち帰るべきものはあるだろうか。『他人事だったのさ。俺は大層な魔力なんざ持ち合わせていなかったし。ちょっとばかし手先が器用なだけの男だった。街の端っこでくだらないモノを作っていられればそれでよかったんだ。』 あなたは山を切り崩しにかかった。とくに目に入るものはなかった。 【解説】積まれていたガラクタは何? 眼鏡の作者が本当に作っていたかったもの。眼鏡も含めて、子供心の赴くままに手を動かしていられた時代の制作物。 宝④(2/5)(F-6) 武器の屍が転がっている。風化したそれらは、もはや何にも使えそうになかった。『時代は、いいや世界は、それを許してくれなかった。工房の煙が消える日はない。人を殺すための道具ばかり作った。自分たちは今どこと戦っているのか。それを知る余裕もないほど、周辺国との争いは激化していた。』 道に散らばる古き技術の産物を避けてあなたは進んでゆく。 【解説】転がっている武器は何? 眼鏡の作者が戦争の際に作ったもの。 宝④(3/5)(D-6) 随分と天井の低い部屋に出た。ここは居住空間ではなさそうだ。ひっくり返された木箱が乱雑に捨て置かれている。『無力だった。惨めだった。戦争と呼べるかもわからない。一方的な略奪に晒される日々が続いた。工房もすでに奴らの手の内。俺ができるのは倉庫に隠した試作品の無事を祈ることだけだった。』 のぞきこんでみたが、中身はからっぽだった。 【解説】試作品=すごそうなメガネ ここはどこ? すごい眼鏡作者の話でいう倉庫の隠し空間。なんで眼鏡を隠してたの? 作者はこれが戦争でも使える道具だとわかっていたが、争いに用いられたくなかったためしまいこんでいた。武器を作ることは彼の本意ではなかった。 宝④(4/5)(N-7) 扉を開けた途端、ひどい耳鳴りがした。壁にはびっしりと、何かが刻まれている。 『誰もが願っていたはずだ。この状況から逃れることを。だからこれは、これは、俺だけの罪じゃない。そうするしかなかったんだ。』 絵のような、紋様のようなそれをそのまま持ち帰ることは難しそうだ。あとで先生に報告しておこう。 【解説】壁に彫られていたのは何? 竜への賛美と感謝の言葉。こうするしかなかったってなんのこと? 竜との契約。 宝④(5/5)(D-7) 罠だったのか、何かの衝撃がここまで届いたか。部屋の中心に飾られた石像は根元からばきりと折れていた。『世界に再び光が灯ったような心地だった。過去の恥辱は濯がれる。新しい時代がはじまったのだ。そうして俺はまた工房に籠もるようになった。いつしか、すっかり、倉庫の中身なんて忘れていた。』 倒れた時に四散したのであろう石像のかけらを踏み越え、台座に近寄る。プレートに刻まれていただろう文字は削り取られていた。 【解説】壊れた石像ってなんだったの? 眼鏡の作者、もとい工房の主の人間性が壊れたことの比喩表現。彼は腕輪(宝⑧)や牙(宝③)を使って実際に戦争に赴いた存在と異なり、(魔力がなかったため)戦地に立たなかった自らの無力さにとらわれている。戦争を生き延びることができたものの、竜と契約した新時代において、彼ら(竜)が与える力にとりつかれ人が変わってしまった。 |
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宝5【簡単ミイラセット】 |
ヒラヒラして弱そうな服だが魔力を含んだ糸で作られていてとても頑丈。包帯も服の一部の為全て身にまとわないと効果は発揮しない。 装着すると物防が+4されるが一度使用すると効力は失われる。 |
拘束具がなぜステUPに? あの装束は見たとおりほぼ布で構成されている。布の性質として表面からの力は通すが裏面からの力は通さない。よって巻き付け方を逆にすることで、着るものの力を封じる(拘束具)→周囲からの力を弾く(防具)という使い分けができる。宝⑤に登場する「君」は宝②で登場する「僕」である。消えてしまった姉を追いかけた「僕」は姉同様に捕らえられ収監されてしまった。
宝⑤(1/5)(P-12) ゆるやかな下り坂を進む。先ほどまでいた地点とそれほど高度が変わった感じはしないが、目に見えて周囲の光が減った。『ようこそ隣人くん!ここでは俺が先輩だからな。わからないことがあったら遠慮なく聞くといい。教えてやれることは全部教えてやろう。知りたくないこともあるかもしれないけど。』 反響音が響く。道はまだ長く続いているようだった。 【解説】ここってどこ? 竜との契約を疑問視・不安視した者が一時的に収監される牢獄。ここの囚人はそのうち魔物の餌にされて死ぬ。この人だれ? 「僕」の隣に収監されている人。 宝⑤(2/5)(B-12) この道の先はやたらと暗い。少し足を止めて他の道がないか確認していると、壁に何かが刻まれているのに気づく。『この棟に光は射さない。もっともらしい演出のため、なんかじゃないぞ。あいつらは明るい場所が嫌いなんだ。あいつらって?そりゃじきにわかる。』 二列に古代の文字が並んでいる。片方は日にちのようだった。しかしもう一方の列が何を意味しているのかはわからない。 【解説】二列に刻まれた古代文字のもう一方はなんだったのか。魔物の餌にした囚人の名前や数の記録。 宝⑤(3/5)(E-4) ここは、いわゆる牢屋だったのだろうな。鉄格子が並ぶ区画を歩きながら、あなたは残された物を探した。『バカだなぁ君。そりゃ無茶ってもんだぜ。この服は拘束具さ。魔法はおろか殴る力も弱っちくなる。だからみんなおとなしくしてるんだ。』 見つかったのはボロボロになった服が数着。投獄時に罪人が着ていたものを取り上げたもののようだ。魔力的な残滓はない。わかったことといえば現代に生きる自分たちとそう体格に差がないことくらいか。 【解説】衣類を見つけた意味 「この時代の人たちも現在の人々とそれほど体格が変わらない」と言っておくことでのちのち見つかる巨大な手錠がでかい種族用の手錠とかではなく、より巨大な、別の存在のために用意されたものだと示すため。 宝⑤(4/5)(I-10) ガシャンと重たいものの落ちる音が響いた。ほかの生徒が何かしでかしたのだろうか。それにしては物音がしたあとの通路が静かすぎる。『これを脱ぐ時?君まだ諦めてなかったのかい。しかしまぁ、ここにいるのだから、君は俺たちと同じ考えなんだろうな。先輩としては応援してやりたい気持ちにもなるってもんだ。あるといえばある、それは―…』 音がしたであろう部屋をのぞきこむ。壁にかけられていたのであろう枷がひとつ床に転がっていた。問題はその大きさだ。人3人がゆうにくぐれそうなそれは、そもそも通路へ持ち出すことも叶いそうになかった。 【解説】俺たちと同じ考えって? 竜との契約に疑問を持っている、ということ。拘束具を外す瞬間とは? 牢から出され、魔物に餌として投げ出されるとき。「僕」はこの助言を聞いていたため、魔物と対面したその時まで希望を持ち続けていられた。 宝⑤(5/5)(O-4) 随分と長い道を歩いてきたが、どうやらこの先は部屋ごと崩れてしまっているようだ。先に進むのを諦め、別の道を探す。『あぁついに俺の番か。いやなにちょっとあいつらとご面会ってやつ? 一足お先に失礼するよ。できれば、次に君と会う日がずっと先の話になるといい。』 崩れた道の先から風音が聞こえた気がした。 【解説】先輩はどうなったの? 魔物の餌になった。次に君と会う日が、ってどういう意味? どうにかして地下の魔物から逃げて生き延びておくれよ(君と死後の世界で再会するのがずっと先のことでありますように)っていう声かけ。 |
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宝6【トライトイヤリング】 |
付けた者の魔力に反応して宝石部分の色が変わるイヤリング(火魔法であれば赤、弱体魔法であれば紫など)。この遺跡にいたとされる者たちはお互いの魔法を判断する為に全員が着用していたそうだ。 装着すると魔力が+2されるが一度使用すると効力は失われる。 |
この国(遺跡のある国)から周辺国へ嫁いだ女性の話。元々国の人がつけていた代物をそのまま持っていっただけなのだが、周辺国はまだまだ文明的に未熟であったため、彼女が持ち込んだ知識や物品は憧憬・妬みの対象となってしまった。 宝⑥(1/5)(H-7) いくつか部屋をのぞいてきてわかったことがある。何もない部屋、というのは思ったよりも多いようだ。『国を離れ、見知らぬ地で生きること。心配もあった、期待もあった。もしも今、国を発つあの日の私に出会えるなら。私は、愚かな自分を縊り殺してやりたい。』 この部屋もなにもないようだ。早く次へ進もう。 【解説】これはどの時点の話? 戦争が起きてしまった時点からまだ平和だった頃(自分が国を出た頃)を思い返している話。宝の記憶の中では最も古いものである。 宝⑥(2/5)(B-1) 大きな水瓶が並ぶ部屋にでた。部屋の中心を窪んだ溝が走っている。『祝福された婚姻ではなかった。話を聞いた街の人は皆私を引き止める。それでも私は彼と共に生きたいと願ったのだ。星の瞬く夜。家財道具を詰め込んだ荷車を引いて、私はあの人と国を出た。華美な暮らしを望む気はなく、唯一持ちだした装飾品は普段からつけていたイヤリングだけ……。』 干上がっているが、かつてはここに水を引いていたのかもしれない。水瓶をのぞきこむと蜘蛛が巣を張っていた。 【解説】―― 宝⑥(3/5)(F-14) 読めるわけではないので素通りしてしまうが、部屋の壁や通路、至る場所に古代文字が並んでいる。『彼の国は私の母国よりもずっと質素で、文明的に未発達であった。そこで私は自分が学んだ知識や、持っている技術を人々に伝えた。魔法も、それに類する技術も持たない彼の国の人々にとって、それらはいわば超常の力だった。スポンジが水を吸うように、彼の国の人たちは知恵をつけていった。』 これだけありふれたものなら、識字率もそれなりに高かったのかもしれない。 【解説】この国(遺跡のある国)は文明的にとてもすすんでいたよ、という話。 宝⑥(4/5)(P-1) 砕かれた石板の山が築かれている。復元できれば資料になるだろうか。『彼らは貪欲だった。それは学ぶことに対してだけではない。彼の国の人々はいつしかこう考えるようになった。あの国に行けばもっと素晴らしいものがあるのではないか?それを自分たちのものにできないだろうか?』 後々翻訳した先生に聞いたところ、あれは字を掘る練習台だったらしい。「要するにあいうえお、かきくけこ、みたいな感じだね。翻訳がほしいかい?」当然といえば当然のことなのかもしれないが、そうした普通の生活の痕跡も残っているものなのだと学んだ。 【解説】かの国って? この国(遺跡のある国)から見た場合の戦争を仕掛けてきた他国。 宝⑥(5/5)(M-4) かなり開けた空間にでた。もしかすると遺跡の端に近いのかもしれない。少し歩くと靴音が硬質になった。軽く土をはらうと石造りの道が現れる。『きっと原因はそれだけではないのだろう。しかし、私があの惨たらしい戦争の火種の一つとなったことは否めない。私は悔い、何をもって償えば良いかを考えはじめた。しかし、おそらくそれもまた、あの者たちの計略のうちだったのだ。』 コツコツと道を踏みしめて歩いていくと、その道は遺跡の外へまで続いているようだ。「探索に戻らなくては」道の先に背を向けて、あなたは遺跡に引き返す。 【解説】 |
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宝7【小さな凱旋】 |
様々な布切れがツギハギされているバンダナ。魔法でつなぎあわされているため、継ぎ目はまったくわからない。 装着すると物防が+2されるが一度使用すると効力は失われる。 |
様々な布切れをくっつけてできているバンダナ。どこかの国にいた賊(海賊とか山賊とか)の一団に母としたわれていた女性(魔女)がいた。彼女が子供達のために作った衣類には加護の魔法が込められていた(これが物防+2の理由)。あるとき賊の一団は軍に捕まり処刑されてしまう。皆の亡骸を持ち帰ることができなかった母(魔女)が子供達の衣類から綺麗な部分を切り取り持ち帰り、寄せ集めのハギレで作ったのがこのバンダナ。魔法でつなぎあわされているため、継ぎ目はまったくわからない。 骸骨=母=盗賊団の首魁の魔女。魔女はこの国(遺跡のある国)と敵対した国の人間であり、戦争に乗じて略奪を行った側である。しかしこの国(遺跡のある国)が竜と契約したことにより戦況が一変する。竜と契約し魔物を操るこの国の人々によって盗賊たち(=我が子)は捕まり処刑された。盗賊たちは宝②の魔女同様、魔物の贄にされたのである。母、もとい盗賊団の首領である魔女は処刑された我が子(盗賊)たちの衣類だけを盗み故郷に持ち帰った。(宝⑤にまつわる文章(E-4)からわかることだが、囚人は拘束具に着せ替えられる際衣類を含む所持品を取り上げられる。ゆえに首魁の魔女が子供たちのために魔法で作ってあげた衣類は無事だったのだ) 子供たちの衣類を魔法で新たに布として編み直し、いくつかの断片にわけたもの、それが今回見つかった宝。なぜ異国の魔女の残渣がこの国(遺跡)にあるのか? 子供たちを殺された復讐のため、魔女は編み直した布とともにこの国へ再度訪れ、戦い、この地で命を落としたから。片刃のハサミは彼女の獲物である。 宝⑦(1/5)(D-1) 部屋に入ると、「なぁに、そう年寄りを邪険にするもんじゃないよ」と黒茶けたテーブルセットに腰掛け た骸骨が笑った。「ちょっとばかし付き合っておくれ。ここは客が少なくて暇なのさ。」 あなたは逃げ時をうかがい、後ろ手に扉を探る。「遠慮なんざおやめ!さぁその扉を開けてみな。」『あの子は白い服が好きだった。仲間うちで飲むとすぐに何か零しちまってね。シミをこさえて帰ってきては子供みたいに小さくなってたもんさ。』 骸骨は笑っている。 部屋の入り口として機能していた扉はどこへやら。それは巨大なクローゼットに変貌していた。記憶はそこで途切れている。気付くとあなたは通路にたっていた。 【解説】この話なにか意味があったの? 子供“みたいに”と言うことで、我が子≠幼い子供ということを示している。 宝⑦(2/5)(N-1) 「来客が多いのはいいことさ。賑やかなのはいいことさ」丸掛け椅子に腰掛けた骸骨があなたを迎え入れる。「今日はずいぶん気分がいい、あんたもあたしの子供になるかい?さぁさ、そこから一着選ぶといい。」背後の扉が音もなく開いた。そこに広がるのは洋服の山、山、山―…『あの子は紺色の服が好きだった。惚れた女がちょっと褒めただけでこの調子なんだから。純情なもんだよ全く。』 崩れ落ちてきた衣服の山、咄嗟に顔を覆い衝撃に備える。 …何も起きない。腕をどかすとそこはなんの変哲もない空き部屋だった。 【解説】この骸骨(=母=魔女)は子供(盗賊たち)に衣類を与えていた、という話。かつての子供たちもこのように声をかけて拾っていたのかもしれない。魔女と子供たちの血は繋がっていない。ほとんどが拾い子である。 宝⑦(3/5)(Q-13) 「こんなに騒がしいのはいつぶりだろうねぇ。カミサマってやつに感謝しないと」安楽椅子に腰掛けた骸骨があなたを眺めている。「それか、そうだね、あんたたちがカミサマなのかい?随分と来るのが遅かったじゃないか」『あの子は紫の服が好きだった。国じゃあ偉いやつしか着られない色だったってんでね。服くらい好きなもんを着な!って投げつけてやったよ。』 「お迎えなんていらないよ。いつどこへ行くかはあたしが決めることさ」しっしっと追い払うような仕草をひとつ。 突風が全身を包み込み、次の瞬間あなたはどこかの通路に座り込んでいた。 【解説】騒がしいのは~云々 子供たちが処刑され、ただの記憶媒体のようになってからだいぶ長い時間を一人で過ごしてきたようだ。カミサマ~云々 魔女はカミサマを信じていない。そんなものがいるならば自分があれほど多くの子供たちを“拾う”必要はなかったはずだ。(捨てられる子供なんていないだろう) これは生徒への言葉ではなくカミサマ的な存在へのただの嫌味である。 宝⑦(4/5)(N-6) 「客が来てるのにこのざまとはねぇ」ベッドに寝転んだまま、骸骨は天井を見上げている。「仕方ないだろう?子供の相手は体力を使うんだ」 投げやりに、しかしどこか愉快そうに骸骨はつぶやく。『いくつも服を仕立てた。新しい子がやってきた時、めでたい日、特別よくがんばったご褒美… 子供たちが幸せでいてくれりゃそれでよかったんだ。あの子達の幸せが誰かを不幸に叩き落とすことだとしても。それを後ろ暗く思う心があったなら、あたしは母親を名乗っていなかっただろうよ。』 「ちぃっとばかし眠たいもんでね。今日はこの辺でお引き取り願おうか」 夜の帳が落ちるようにゆっくりと、視界が黒で塗りつぶされる。光を取り戻した頃にはすっかり、骸骨もベッドも姿を消していた。 【解説】---- 宝⑦(5/5)(P-7) 床に突き立てられているのは片刃のハサミだ。墓標のように佇むそれは、鈍く輝きをはなっている。『なんてことを、ああなんということを。食い散らかされた我が子達の亡骸。あいつらが何に手を出したのか、あたしにもわかった。しかしそんなことはどうでもいい。痛かっただろう、苦しかっただろう。大丈夫さ、あたしがみんなを連れて帰ってやるからね。街を行き交う人々は皆笑顔を浮かべている。なんたって今日は素晴らしい日だ! 国を脅かす盗賊達が処刑された日だ! 我が国に安寧が訪れる日だ!民衆は軍人を誉めそやし、感謝の言葉と花束が街を彩る。空を飛び交う魔物を満足げに見やりながらこんな良き日に語るべきではないと、兵士たちは皆口をつぐんだ。 首魁の魔女を取り逃したことを。』 ハサミが煌めいた。 一瞬寒気がしたがそれ以降、何も変化は訪れなかった。 【解説】片刃のハサミって? 魔女の遺品。 【石板⑤~⑩にまたがる記憶。】骸骨=母=首魁の魔女であるところの女性は遺跡の国ではない、別の国の人間だ。幼い頃、彼女はよその国から来たという花嫁と出会う。異国のイヤリングを身につけたその女性が語る話は大層面白く、彼女は顔を合わせるたび話をねだった。彼女は女性に多くのことを学んだ、布を編む魔法もそのひとつ。彼女の国は遺跡の国ほど文明も魔法も発達していない。異国の女性に教わったことをただ真似するだけで彼女は魔女と呼ばれるようになった。魔法もなく文化も未成熟な暮らしはひどく単純でわかりやすい。労働力として多くの子供が産み落とされたが、力のない者、病にかかった者、体を損なった者、役に立たない子供は簡単に捨てられる。不作の年などはなおさらだ。そうした子供をなぜ魔女と呼ばれるようになった彼女が拾ったのかはわからない。ただ彼女が多くの子供を育て、彼らは自分の生活のために賊となった。それだけが事実である。 |
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宝8【無邪気な腕輪】 |
子供しか腕を通すことができないようなとても細い金の腕輪のようだが欠けているためやや広がり誰でも装着が可能。元は強力だったようだが壊れているためか、やや魔力を帯びている程度である。 装着すると腕力が+2されるが一度使用すると効力は失われる。 |
もともとは子供しか腕を通すことができないようなとても細い金の腕輪。今は欠けているためやや広がる。子供しか身につけられない代わりにもともとの腕輪(欠けていない状態)は今よりもずっと力を強くすることができた。どこかの国の神官が自分たちの子供につけさせて悪用していた。怪力を振るう子供を危険視した民たちが子供をどこかに閉じ込める(遺跡)。子供は外にでるため、壁をこわそうと、いつもどおり拳をふるった。しかし壁には魔法的な結界があったため腕輪の方が壊れてしまう。 無邪気な年頃の幼子しか着用できそうにないとても細い腕輪。着用者に圧倒的な腕力を与える。万が一意図せぬ者の手に渡ったとしても子供なら御せるだろうという作成者の驕りに満ちた品である。精神にはなんの作用もきたさないため、少年少女は正気を保ったまま戦場に投げ込まれた。 宝8の記憶1【H-12マス】 大樹の根だろうか。崩れた壁を突き破り、樹木がその姿をのぞかせている。あなたは何気なくそれに触れると、突然、耳元で誰かが囁いた。『いいことだとおもっていたの おとうさまもおかあさまもうなずいたわ それがみんなのためになる、って。』 樹木はひんやりとしていた。 あなたは部屋の奥へと進む。 【解説】この樹木の意味。樹木は水路、元をたどるとそう遠くない場所にあるらしい川(水路や川の存在は他のマスで示されている)から水を得ている。戦時中、川には死体が浮いていた。(宝8の記憶2に描写がある) 少女の死体もそこを流れ、沈んだのだろう。少女と樹木はその縁でつながっている。 宝8の記憶2【I-4マス】 床に、金属のかけらが転がっている。表面をこするとうっすら金の地が見えた。『限界だ、誰かの声が響いた。長く続く周辺国からの侵攻、略奪。民は疲弊していた。一歩都をでれば川に死体が浮かんでいる。畑は荒廃し、更地と見分けがつかない。人々は夜明けを恐れた。日の出と共に、彼らの絶望は始まる。』 手に取ってみるも特に何もない。 小さなかけらはさらさらと、砂のようにこぼれ落ちていった。 【解説】―― 宝8の記憶3【J-12マス】 泥の固まりを一瞥する。元は何色だったのか想像もできないほど薄汚れたそれは、どうやら古代の装束であるようだ。軽く持ち上げてみると一箇所だけ、白く綺麗な面が残っている。『きらきらしたうでわをもらったの これでみんなをたすけてね、って そうして、えっと、しろいおようふくをきたわ さいごかもしれないからって とってもきれいでうれしかった。』 見間違いだったのだろうか。手中の衣類は余すところなく土にまみれていた。 【解説】白いお洋服とは? 礼装・正装の類。本来は成人用のものしか存在していなかった。それを子供用に作り直し、戦装束・死装束とさせたことを親の愛情と見るかは人によるだろう。 宝8の記憶4【H-6マス】 ひどく荒れた部屋にたどり着いた。柱や壁に、切りつけられた傷が無数に残されている。ひときわ大きな柱の傷から赤黒い液体が滴り落ちた。『あの化物を殺せ! 敵国の兵士が叫んだ。彼らが狙っている者は屈強な兵士でも指揮官でもない。返り血に塗れた幼子。金の腕輪を嵌めた少女は腕を振りかざす。その両手はおぞましい姿に変わり果てていた。』 柱はいまだ、血を流し続けている。 【解説】―― 宝8の記憶5【J-6マス】 人の気配がする。先ほどからずっとそうなのだ。姿を見せない何かが、鈴を転がすような声で笑った。『わたしかなしくなかったの。 でもすこしさびしかった。 がんばったねって いってもらいたかった。』 軽やかな足音はあなたを追い越して行った。 【解説】―― 【石板6の時代の記憶。戦争の真っ只中の話】 戦況が悲惨を極め国のそこかしこで日々略奪が行われる中で、子をもつ人々はこぞって我が子に金の腕輪をつけさせようとした。それは子供を戦いの道具とするためではない。この国から逃がそうと、生き延びて欲しいと願った結果である。国を包囲する敵軍の兵士達を退け、戦火を逃れられるどこかへとたどり着くために、力が必要だったのだ。金の腕輪はそれを身につけた者に力を与えるが、つまるところただの道具に過ぎず、持ち主の意思を変えることはできない。どれほどその腕輪を与えた者が願ったとして、受け取った者が逃げず戦うことを選ぶならば、その決定は覆せない。何が子供にそれを選ばせたのかはわからないし、皆が皆同じ理由でそれを決めたわけではないだろう。だが確かに、力を振るう道を選んだ者たちがいた。彼らの結末を、遺跡に転がる腕輪は語る。金の腕輪をつけて国から脱出できた子もいた、道中で死んだ子もいた、そもそも逃げずに戦った子(8の記憶の少女みたいな)もいた。 【おまけ】牙を扱っているのは3の「私」ですが牙を作成した製作者は4の眼鏡の作者と同じ人。 |
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オリオラ |
光を発する魚のような魔物。害がなくただ空中を漂う。 |
ハートトビネズミ |
記憶を力に変換する力を持つ魔物。害はなく遺跡の中で悠々自適に日々を過ごしている。 |
地図のネタバレ
一部トラップの補足
D-5【泳いでいるネズミを見送るだけのマス】、E-8とK-7【火柱から逃げて水路に飛び込むマス】の意味 | ネズミが泳げる・水路の位置を把握していることを示している。 宝2・宝5の記憶に登場する弟が収監ののち脱出する際にネズミに誘導され水路→川という流れで逃げた。 |
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E-9とM-9【砂あびするネズミ】の意味 | ホコリや汚れなどで魔法陣が隠れていることを示している。 遺跡のトラップで「いつの間にか幻術にかかっていた」という類のものがあるが、そういうものに気づかない原因の一つにはこうした建物の劣化や砂埃によって魔法陣が見えにくくなっているからかもしれないという話。 |
K-6やM-6【鉄格子のはめ込まれた部屋】の意味 | 牢獄。かつて拘束具を着せられた囚人たちが収監されていたであろう場所。 その地下には彼らを喰らう魔物たちが飼われていた。 |
遺跡内でたまに意識が飛ぶのは何故か? | 生徒の力では容易に解除できないレベルの魔術が遺跡には多数存在している。それから脱出する際にネズミの魔物の力を借りている様子がいくつかのマスであったが、あの魔物の声は記憶を力(体力・気力)に変換するものである。 魔物の声による回復の副作用は、ほとんど気付かない~意識がぼんやりする程度~完全な意識消失・一時的な記憶喪失レベルまで様々。宝1が手に入るマスで落下した際負った重傷・それに重なるようにかかった幻覚からの脱出、が最たるもので、これにかかった生徒の記憶は飛んでいるとされる。 |